統計・データ

誹謗中傷の件数グラフ【2025年最新】推移と法務省・総務省の統計

監修:松本理平弁護士

最終更新日: 2026-09-14

この記事の結論

  • 誹謗中傷の件数は、総務省委託の違法・有害情報相談センターで令和7年度(2025年度)6,715件、法務省のインターネット上の人権侵犯事件で令和7年(2025年)1,569件です。前者は平成22年度の1,337件から増えて16年間で最も多く、後者は前年から138件減少しました。
  • SNS別では、令和7年度はX(旧Twitter)の相談が1,695件で最も多く、Instagramは644件、YouTubeは182件、TikTokは179件でした。
  • 本記事は総務省(平成22年度〜令和7年度の16年分)と法務省(平成28年〜令和7年の10年分)の全数値を、一次資料の出典リンク付きでグラフと表にまとめたデータページです。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。削除の可否、発信者情報開示の見通し、慰謝料・損害賠償の可能性は、投稿内容・媒体・証拠・期限・権利侵害の内容などにより異なります。個別の見通しは弁護士にご相談ください。

X(旧Twitter)やInstagramなどSNSでのネット誹謗中傷の件数は増えているのか。本記事は、総務省委託の違法・有害情報相談センターの相談件数(平成22年度〜令和7年度の16年分)と、法務省のインターネット上の人権侵犯事件数(平成28年〜令和7年の10年分)の全数値を、グラフで見やすく整理し、一次資料の出典リンク付きで一覧できるデータページです。

総務省系: 違法・有害情報相談センターの相談件数【16年推移】

総務省が運営を委託する違法・有害情報相談センターの相談件数(作業件数)は、次のとおり推移しています。

年度相談件数年度相談件数
平成22年度(2010)1,337件平成30年度(2018)5,085件
平成23年度(2011)1,560件令和元年度(2019)5,198件
平成24年度(2012)2,386件令和2年度(2020)5,407件
平成25年度(2013)2,927件令和3年度(2021)6,329件
平成26年度(2014)3,400件令和4年度(2022)5,745件
平成27年度(2015)5,200件令和5年度(2023)6,463件
平成28年度(2016)5,251件令和6年度(2024)6,403件
平成29年度(2017)5,598件令和7年度(2025)6,715件
1,3371,5602,3862,9273,4005,2005,2515,5985,0855,1985,4076,3295,7456,4636,4036,7152010201120122013201420152016201720182019202020212022202320242025
図: 違法・有害情報相談センター相談件数の推移(平成22年度〜令和7年度、単位:件)。出典: 総務省委託報告書

グラフの形で見ると、2010年度の1,337件から2015年度に5,000件台へ急増し、2021年度以降は6,000件前後で高止まりという推移です。令和7年度(2025年度)の6,715件は、この16年間で最も多い件数です。

出典: 総務省「令和7年度 インターネット上の違法・有害情報対応 相談業務等の請負 報告書(概要版)」図表1(PDF)。

相談者の8割超が「個人」

同報告書によると、令和7年度の相談者の85.2%は個人(2,891人)で、個人事業主(7.4%)、企業・団体(5.9%)と続きます。個人の割合は平成27年度の65.1%から上がり、令和5年度以降は8割台で推移しており、誹謗中傷被害の相談が「個人が自分で相談する」形に集中してきていることがわかります。

個別のサービスではX(旧Twitter)が最多

令和7年度の相談を事業者/サービス別に集計すると(複数回答、総計7,613件)、個別のサービスではX(旧Twitter)の1,695件(22.3%)が最も多く、Instagramの644件がこれに次ぎます。YouTubeは182件、TikTokは179件でした(同報告書 図表12)。

法務省系: インターネット上の人権侵犯事件数【10年推移】

もう一つの一次統計が、法務省の人権擁護機関による「人権侵犯事件」の統計です。インターネット上の人権侵害情報に関して新規に救済手続を開始した件数は、次のとおりです。

事件数事件数
平成28年(2016)1,909件令和3年(2021)1,736件
平成29年(2017)2,217件令和4年(2022)1,721件
平成30年(2018)1,910件令和5年(2023)1,824件
平成31年/令和元年(2019)1,985件令和6年(2024)1,707件
令和2年(2020)1,693件令和7年(2025)1,569件
1,9092,2171,9101,9851,6931,7361,7211,8241,7071,5692016201720182019202020212022202320242025
図: インターネット上の人権侵犯事件・新規救済手続開始件数の推移(平成28年〜令和7年、単位:件)。出典: 法務省

ピークは平成29年(2017年)の2,217件で、その後はおおむね1,600〜2,000件前後の高水準で推移しています。令和7年(2025年)は1,569件で、前年から138件減少しました。

なお、この件数はプロバイダ事業者等への削除要請件数ベースで集計されており、書き込みの数ではありません(1事業者に100件の書き込みの削除を1回で要請した場合、1件と計上)。

令和7年(2025年)の内訳: プライバシー侵害が最多

令和7年の1,569件の内訳は、プライバシー侵害事案が503件、識別情報の摘示事案が494件、名誉毀損事案が348件で、この3類型で全体の85%を占めます。処理件数は1,572件で、法務局がプロバイダ等へ削除を求める「要請」を行った件数は349件(約2割)でした。

出典: 法務省「令和7年における『人権侵犯事件』の状況について(概要)」(法務省/PDF)。

人権侵犯事件の内訳は何が多いのか【類型別10年推移】

法務省の統計は、総数だけでなく類型別の内訳も公表されています。令和7年(2025年)の1,569件のうち、プライバシー侵害503件・識別情報の摘示494件・名誉毀損348件で全体の約85%を占めます。10年分の内訳は次のとおりです。

総数プライバシー侵害名誉毀損
平成28年(2016)1,909件1,189件501件
平成29年(2017)2,217件1,141件746件
平成30年(2018)1,910件849件667件
令和元年(2019)1,985件1,045件517件
令和2年(2020)1,693件900件430件
令和3年(2021)1,736件725件483件
令和4年(2022)1,721件665件346件
令和5年(2023)1,824件542件415件
令和6年(2024)1,707件635件329件
令和7年(2025)1,569件503件348件

プライバシー侵害は平成28年の1,189件から令和7年の503件へと減り、代わりに識別情報の摘示(いわゆる「ネット上の身元さらし」)が増えています。相談の中身が入れ替わっている点は、総数だけを見ていると気づけません。数値はいずれも法務省人権擁護局の公表資料によります。

なぜ総務省と法務省で件数が4倍以上違うのか

令和7年度の総務省系は6,715件、令和7年の法務省系は1,569件で、約4.3倍の差があります。これは母集団と数え方が違うためです。総務省委託の違法・有害情報相談センターは「相談を受けて作業した件数」を数え、法務省は「人権擁護機関がプロバイダ等へ削除要請を行った件数ベース」で数えています。相談したが削除要請に至らなかったケースは、法務省側には計上されません。どちらが正しいかではなく、見ている工程が違うと理解してください。

2つの統計の違いに注意

総務省系(相談センター)法務省系(人権侵犯事件)
集計主体総務省委託の違法・有害情報相談センター法務省の人権擁護機関(法務局)
集計単位年度(4月〜3月)・作業件数暦年(1月〜12月)・救済手続開始件数
直近の値令和7年度: 6,715件令和7年: 1,569件
性格相談の件数(権利侵害の成否は判断しない)人権侵害の疑いで調査を開始した事件数

報道や資料で「誹謗中傷は年間◯件」とされる場合、どちらの統計か(あるいは警察庁・プラットフォーム事業者の自主公表か)で数値が大きく異なります。引用時は出典と集計単位をセットで確認してください。

統計の先にある「対処の制度」

件数の全体像をつかんだら、次は制度と手続きです。

よくある質問(FAQ)

Q1. ネット誹謗中傷の件数は増えていますか。

A. 相談ベース(総務省系)では2015年度に5,000件台へ急増し、その後は6,000件前後で高止まりしています。令和7年度は6,715件でした。事件ベース(法務省系)では2017年をピークに1,600〜2,000件前後で推移し、令和7年は1,569件でした。「爆発的に増え続けている」というより「高い水準が常態化している」のが実態です。

Q2. 最新の公的統計はいつのものですか。

A. 2026年9月の更新時点で、総務省系は令和7年度(2025年度)分、法務省系は令和7年(2025年)分(令和8年3月24日公表)が最新です。

Q3. グラフや数値を引用してもよいですか。

A. 本記事の数値はすべて総務省・法務省の公表資料に基づきます。引用の際は一次資料(出典一覧のリンク先)を出典として明記することをおすすめします。

Q4. 誹謗中傷のグラフはどこの一次資料を見れば作れますか。

A. 総務省情報流通行政局の「インターネット上の違法・有害情報対応相談業務等の請負 報告書(概要版)」と、法務省人権擁護局の「令和7年における『人権侵犯事件』の状況について(概要)」の2つです。本記事の出典一覧に両方のPDFへの直接リンクを掲載しています。

Q5. 人権侵犯事件で最も多い類型は何ですか。

A. 令和7年(2025年)は、プライバシー侵害503件、識別情報の摘示494件、名誉毀損348件の順で、この3類型で全体の約85%を占めます。

出典一覧(一次情報)

免責事項

本記事は公的機関が公表する統計・制度情報を一般向けに整理したもので、特定の事案に対する法的助言ではありません。統計値・制度内容は将来の更新や法改正により変わる場合があります。掲載の数値・制度は本記事作成時点の一次資料に基づくものであり、削除や開示、特定の成功を保証するものではありません。個別のご相談は、総務省委託の違法・有害情報相談センター(https://www.ihaho.jp/)や弁護士等の専門家にご確認ください。

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