名誉毀損で訴える流れ|民事裁判の手続き・印紙代・少額訴訟

この記事の結論

  • 投稿者に損害賠償を求める裁判は、訴状を裁判所に出すところから始まります(民事訴訟法134条)。ネットの書き込みの場合、まず発信者情報開示で投稿者の氏名・住所を特定するのが前提です。
  • 請求額が140万円以下なら簡易裁判所、超えるなら地方裁判所です。訴状に貼る印紙代は請求額で決まり、100万円の請求なら1万円、300万円なら2万円です。
  • 相手に自分の住所を知られたくない場合は、住所や氏名を秘匿する申立てができます(民事訴訟法133条)。判決の前に和解で終わることも多く、示談との違いを知っておくと判断しやすくなります。

最終更新日: 2026-10-24

投稿者を特定できた後、示談で話がまとまらなければ、損害賠償を求めて裁判を起こすことになります。ここでは民事裁判の手続きの流れと、最初にかかるお金を、民事訴訟法・裁判所法・民事訴訟費用等に関する法律の条文から整理しました(2026年10月24日にe-Gov法令検索で確認)。刑事告訴との違いは誹謗中傷で警察に相談できる?刑事手続きの考え方にあります。

民事裁判の流れ

段階すること
1. 投稿者の特定発信者情報開示で氏名・住所を明らかにする。特定できないと訴状に被告を書けない
2. 請求の準備請求額(慰謝料・調査費用など)を決め、書き込みと損害を示す証拠をそろえる。先に内容証明郵便などで請求し、示談を試みることが多い
3. 訴状の提出当事者、請求の趣旨と原因を書いた訴状を裁判所に出す(民事訴訟法134条)。印紙と郵便切手を納める
4. 口頭弁論・争点整理相手の反論(事実だ、公益目的だ、など)に対して、書面と証拠で主張を重ねる
5. 和解または判決途中で和解することも多い。判決に不服があれば控訴できる
6. 支払い・強制執行判決や和解で決まったお金が払われなければ、給料や預金の差押えを申し立てる

開示の手続きは発信者情報開示請求とは、特定後の選び方は投稿者を特定した後の流れにまとめています。

どこの裁判所に訴えるか

請求額が140万円を超えなければ簡易裁判所、超えれば地方裁判所が第一審です(裁判所法33条、e-Gov法令検索「裁判所法」)。場所は、原則として被告の住所地を管轄する裁判所ですが、不法行為に関する訴えは「不法行為があった地」の裁判所にも起こせます(民事訴訟法4条・5条9号)。ネットの書き込みでこの「地」をどう考えるかは事案によるので、申立て前に確かめてください。

訴状に貼る印紙代

訴えを起こす手数料は、請求額(訴訟の目的の価額)に応じて決まり、収入印紙で納めます。100万円までは10万円ごとに1,000円、100万円を超え500万円までの部分は20万円ごとに1,000円、500万円を超え1,000万円までの部分は50万円ごとに2,000円です(民事訴訟費用等に関する法律 別表第一、e-Gov法令検索)。

請求額手数料(印紙代)
50万円5,000円
100万円10,000円
300万円20,000円
500万円30,000円
1,000万円50,000円

このほか、書類を送るための郵便切手を裁判所に納めます。控訴するときの手数料は1.5倍です。弁護士に依頼する場合の費用は別にかかり、目安は誹謗中傷の弁護士費用にあります。

60万円以下なら少額訴訟も選べる

請求額が60万円以下の金銭の支払いを求める場合は、簡易裁判所で少額訴訟を選べます(民事訴訟法368条)。原則として1回の期日で審理を終えて判決する手続きで、同じ簡易裁判所で1年に使える回数に上限があります。相手が通常の手続きに移すよう求めることもできるので、争いが大きい事案には向きません。

住所を相手に知られたくないとき

訴状には原告の住所も書くのが原則ですが、住所や氏名が相手に知られると社会生活に著しい支障が出るおそれがあることを示せば、裁判所が住所や氏名を秘匿する決定をできます(民事訴訟法133条、e-Gov法令検索「民事訴訟法」)。ネットで執拗に攻撃されている場合は、申立てを検討してください。

判決と和解の違い

裁判の途中で、裁判所から和解を勧められることがあります。和解では金額だけでなく、投稿の削除、今後書き込まないこと、口外しないことなども取り決められます。判決は請求が認められるかどうかを裁判所が決めるもので、謝罪広告など名誉を回復する処分を求めることもできます(民法723条)。示談との違いは投稿者を特定した後の流れ、請求できる期限は名誉毀損の時効で確認してください。

よくある質問

名誉毀損の裁判はどのくらいの期間がかかりますか?

事案によって大きく変わります。相手が書き込みを認めて和解すれば早く終わり、事実かどうかや公益目的を争われると長くなります。投稿者の特定にも別に時間がかかるので、全体の見通しは相談の際に確認してください。

弁護士に頼まずに自分で訴えられますか?

本人が訴状を出して裁判をすることはできます。ただ、名誉毀損では書き込みが事実か、公益を図る目的かといった反論への対応が必要になることが多いため、少額訴訟以外は弁護士への相談をおすすめします。

裁判で勝てば、開示請求にかかった費用も払ってもらえますか?

投稿者の特定にかかった費用を損害の一部として請求することはできます。どこまで認められるかは事案ごとに判断されるため、領収書や請求書を残しておいてください。

本記事は一般的な情報提供で、個別の事案で請求が認められるか、金額がいくらになるかを判断するものではありません。

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