ネット誹謗中傷の慰謝料は増える?法務省の見直し検討を解説
最終更新日: 2026-09-30
ネット上で誹謗中傷を受けたとき、「慰謝料を請求しても、費用や負担に見合うのだろうか」と悩むことがあります。2026年9月29日、法務省が精神的損害に対する賠償のあり方を検討する研究会を設けると報じられました。
今回のニュースは制度の見直しに向けた検討を伝えるものです。慰謝料の増額や新しい算定基準、法律の施行日が決まったという発表ではありません。この記事では、2026年9月30日時点で確認できる報道と現行法を分けて、被害を受けた方が相談前に整理できることを解説します。
法務省はネット中傷の賠償について何を検討する?
毎日新聞の9月29日の報道によると、法務省は精神的損害の賠償のあり方などを検討する有識者研究会を設置します。ネット中傷の被害について、認められる賠償額では救済が不十分だという指摘を背景に、算定方法などの論点を整理する方針とされています。初会合は9月30日の予定と報じられています。
参照:毎日新聞配信「精神的損害の賠償見直し検討 ネット中傷に『低額』批判 法務省」(2026年9月29日、StartHome掲載)。ご提示のYahoo!ニュースの投稿も、この話題を紹介しています。
慰謝料の引き上げは決定した?
確認した報道の段階では、引き上げが決定したとはいえません。「検討する」という情報を、そのまま「今後は一定額を受け取れる」という意味で捉えないことが大切です。具体的な制度案、対象となる被害、成立・施行の時期、過去の投稿への適用の有無は、今後の公式発表で確認する必要があります。
| 気になる点 | 現時点での読み方 |
|---|---|
| 慰謝料は必ず増える? | 増額の決定を示す報道ではありません。 |
| いくら請求できるようになる? | 新たな一律金額は確認できていません。 |
| 昔の投稿にも新制度を使える? | 制度案や適用関係が明らかになる前に断定できません。 |
| 被害への対応を待つべき? | 制度の検討とは別に、現在の投稿と証拠を整理して相談できます。 |
現行の慰謝料と損害賠償の考え方
民法709条は、故意または過失により他人の権利や法律上保護される利益を侵害した場合の損害賠償責任を定めています。710条は、財産以外の損害についても賠償の対象になることを定めています。慰謝料は、精神的な苦痛に対する賠償として扱われます。
ただし、不快な投稿がすべて賠償対象になるわけではありません。具体的な内容や前後の文脈、誰についての投稿と読めるかなどを確認して、権利侵害の有無を判断する必要があります。709条・710条に、ネット中傷の慰謝料を一律で決める金額表はありません。
根拠:e-Gov法令検索「民法」709条・710条。基本事項はネット誹謗中傷の慰謝料・損害賠償の考え方もご覧ください。
請求した金額と、認められる金額は別
相談時には、「請求を検討する額」「裁判などで認められる見通し」「実際に回収できる見通し」を分けて確認すると、判断材料が整理しやすくなります。さらに、削除、投稿者の特定、賠償請求では、目的と費用が異なります。金額だけでなく、対応によって何を実現したいかも伝えましょう。
制度の見直しを待たずに整理できること
1.投稿の内容と所在を保存する
投稿のURL、投稿日時、アカウント名・ID、本文や画像、前後のやり取りを整理します。スクリーンショットには、対象の投稿と投稿者がわかる情報を含め、加工していない元のデータも保管しましょう。削除依頼の前に、現在見えている内容を残しておくと相談時に状況を説明しやすくなります。
保存する項目は誹謗中傷の証拠チェックリストで確認できます。
2.被害の経過を時系列でまとめる
最初に気付いた日、投稿が繰り返された日、転載や拡散に気付いた日、運営者に連絡した日と回答を記録します。生活・仕事への影響についても、起きたことと自分の推測を分けてメモしておきましょう。受診や仕事上の損失があれば、関連資料があるかも確認します。資料があるだけで賠償が認められると決まるものではありません。
3.削除・投稿者特定・賠償のどれを希望するか整理する
- 投稿を見られないようにしたい:削除について相談する。
- 匿名の投稿者を調べたい:発信者情報開示について相談する。
- 被害の賠償を求めたい:投稿者、権利侵害、損害、費用と回収の見通しを相談する。
それぞれの手続が自動的に次の手続へ進むわけではありません。匿名投稿の対応は発信者情報開示の概要を確認し、実際の進め方は弁護士に相談してください。
相談時には費用と対応範囲も確認する
「相談料」「削除や開示の費用」「賠償請求の費用」「追加の手続に進む場合の費用」を分けて尋ねると、見積もりの内容を比較しやすくなります。また、見積もりに含まれる投稿数や媒体、対応範囲も確認しましょう。費用倒れが心配な場合は、その懸念を最初に伝えて構いません。
法務局では、インターネット上の人権侵害について、削除依頼の方法などの助言や、侵害が認められる情報への削除要請を行っています。損害賠償を請求する手続と、公的窓口による削除支援は区別して考えましょう。窓口の案内は法務省「インターネット上の人権侵害をなくしましょう」と誹謗中傷の公的相談窓口一覧で確認できます。
よくある質問
ニュースを見ました。今すぐ高額な慰謝料を請求できますか?
この報道だけで、個別の請求額や認められる額が変わるとはいえません。現在の投稿内容、証拠、被害の状況をもとに判断する必要があります。
法改正まで相談を待った方がよいですか?
法改正の内容や施行時期は確認できていません。少なくとも、現在見えている投稿と被害の経過は保存しておきましょう。相談時に期限や証拠保存の必要性を確認できます。
投稿を削除してもらえば慰謝料も受け取れますか?
削除と金銭の賠償は別の問題です。投稿が削除されたことだけで賠償金の支払いや金額が決まるわけではありません。
報道の動きと、いまの被害への対応を分けて考える
今回のニュースは、ネット中傷の被害救済をめぐる制度の検討です。具体的な増額や新制度の適用を前提にせず、現時点では投稿情報、被害の経過、希望する対応を整理することが相談の第一歩になります。
本記事は2026年9月30日時点の報道と公的資料に基づく一般的な情報提供です。個別事案の違法性、削除・開示の可否、賠償額や回収の見通しを保証するものではありません。
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※ 削除、発信者情報開示、慰謝料・損害賠償の結果を保証するものではありません。個別の見通しは弁護士にご相談ください。