投稿削除の仮処分の流れと費用|任意の削除依頼との違い
最終更新日: 2026-09-10
この記事の結論
- 総務省委託の違法・有害情報相談センターの相談件数は、令和6年度(2024年度)で6,403件でした。平成22年度(2010年度)の1,337件から2015年度に5,000件台へ増え、2021年度以降は6,000件前後で高止まりしています。
- 法務省のインターネット上の人権侵犯事件数は令和7年(2025年)で1,569件。2017年をピークに1,600〜2,000件前後で推移しており、「増え続けている」というより高い水準が常態化している状態です。
- 本記事は総務省(平成22年度〜令和6年度の15年分)と法務省(平成28年〜令和7年の10年分)の全数値を、一次資料の出典リンク付きでグラフと表にまとめたデータページです。
この記事の結論
- 削除の求め方には、サイト運営者への任意の削除依頼と、裁判所を通す仮処分の2つがあります。まず任意の依頼を試し、応じられないときに仮処分を検討するのが一般的な順序とされています。
- 仮処分では、裁判所に納める申立手数料のほかに、担保金(保証金)を法務局に供託するよう命じられることがあります。担保金は手続が終われば取戻しの手続ができるお金です。
- 申立ての前に、投稿のURL・スクリーンショット・投稿日時・どの記述がどう権利を侵害するのかの整理が必要です。ここが弱いと手続そのものが進みません。
投稿の削除を求めるときに「仮処分」という言葉を目にして、何をする手続なのか分からないという相談があります。ここでは、任意の削除依頼との違いと、費用の内訳の考え方を整理します。個別の見通しを示すものではありません。
任意の削除依頼と仮処分の違い
| 比べる点 | 任意の削除依頼 | 削除の仮処分 |
|---|---|---|
| 相手 | サイト運営者・プラットフォーム事業者 | 裁判所(相手方は運営者等) |
| 始め方 | 問い合わせフォーム・送信防止措置の依頼書 | 裁判所への申立て |
| 強制力 | 応じるかどうかは相手の判断 | 決定が出れば従うことが期待される |
| 費用 | 原則として実費のみ | 申立手数料・郵便費用・担保金・(依頼する場合)弁護士費用 |
| 必要な準備 | 投稿の特定と理由の説明 | 権利侵害の疎明資料(証拠)の整理 |
削除依頼そのものの手順は削除依頼の流れ、断られたときの整理は削除を断られたときで解説しています。
申立てから決定までの一般的な流れ
- 資料の整理:投稿URL、スクリーンショット(URLと日時が写る形)、投稿日時、権利侵害の内容を整理します。
- 申立て:管轄の裁判所に、申立書と疎明資料を提出します。
- 審尋:裁判官が申立人(および相手方)から事情を聴きます。
- 担保決定:担保金の額が決められ、法務局に供託します。
- 決定:認められれば削除を命じる決定が出ます。
- 執行・取戻し:削除が行われ、手続の終了後に担保の取戻しを申し立てます。
裁判所に納める手数料の一覧は裁判所「手数料」で公表されています。金額は申立ての種類によって異なるため、実際の額は裁判所または弁護士に確認してください。
削除と発信者の特定は別の手続
削除の仮処分は「投稿を消す」ための手続で、「誰が書いたかを知る」手続とは別です。発信者情報の開示は、情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)にもとづく手続として整理されています。制度の概要は総務省「インターネット上の違法・有害情報に対する対応」にまとめられています。
両者の使い分けは削除と開示のどちらを選ぶか、開示手続の全体像は発信者情報開示請求とはで整理しています。削除を先に行うと投稿が消えて証拠が残らなくなることがあるため、順序は相談時に確認してください。
相談前にそろえる資料
| そろえるもの | 形式 | 注意点 |
|---|---|---|
| 投稿のURL | テキスト | 短縮URLではなく元のURL |
| スクリーンショット | 画像 | URL欄と日時が画面内に写るようにする |
| 投稿日時 | テキスト | タイムゾーンの表記も控える |
| 侵害の内容 | メモ | どの記述が、どの事実に反するかを1件ずつ |
| 被害の状況 | メモ | いつから、どのような影響が出ているか |
公的な相談窓口
- インターネット上の違法・有害情報に対する対応(総務省):制度と相談先の説明です。
- サイバー事案に関する相談窓口(警察庁):犯罪の疑いがある場合の相談先です。
- 法テラス:手続や費用の情報提供、条件に応じた援助制度の案内があります。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案で削除が認められるかどうかを判断するものではありません。結果を保証するものでもありません。実際の手続については弁護士にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 仮処分は自分だけで申し立てられますか。
A. 制度上は本人の申立てもできますが、疎明資料の整理や相手方の特定が必要になるため、弁護士に相談したうえで進める例が多いとされています。
Q2. 担保金は戻ってきますか。
A. 担保金は供託するお金で、手続が終わったあとに取戻しの手続をとることができます。手数料とは性質が違うため、内訳を分けて確認してください。
Q3. どのくらいの期間がかかりますか。
A. 事案や裁判所の状況によって異なるため、一律の期間は示せません。審尋の回数や相手方の対応によって変わります。
出典一覧(一次情報)
- 総務省「令和6年度 インターネット上の違法・有害情報対応 相談業務等の請負 報告書(概要版)」https://www.soumu.go.jp/main_content/001009571.pdf
- 法務省「令和7年における『人権侵犯事件』の状況について(概要)」https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken03_00272.html(PDF)
- 法務省「人権侵犯事件 統計表」一覧 https://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_jinken.html
- 違法・有害情報相談センター https://ihaho.jp/
免責事項
本記事は公的機関が公表する統計・制度情報を一般向けに整理したもので、特定の事案に対する法的助言ではありません。統計値・制度内容は将来の更新や法改正により変わる場合があります。掲載の数値・制度は本記事作成時点の一次資料に基づくものであり、削除や開示、特定の成功を保証するものではありません。個別のご相談は、総務省委託の違法・有害情報相談センター(https://www.ihaho.jp/)や弁護士等の専門家にご確認ください。
一人で抱えず、まず状況を整理しましょう
削除・投稿者の特定・損害賠償のどれが向くかは、媒体・証拠・期限で変わります。下の3ステップで整理できます。
※ 削除・発信者情報開示・慰謝料・損害賠償・解決を保証するものではありません。秘密厳守で対応します。
ネット誹謗中傷相談ナビの相談前整理事例
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。