LINEグループや職場の悪口は名誉毀損になる?公然性の考え方
この記事の結論
- 名誉毀損になるには「公然と」、つまり不特定または多数の人が知り得る状態で、具体的な事実を示して社会的評価を下げることが必要です。
- 相手が少人数でも、そこから多くの人に広まる可能性があれば公然性が認められることがあります。近所の数人に話した噂が村中に広まった事案で、最高裁は名誉毀損罪の成立を認めています(昭和34年5月7日判決)。
- LINEグループは人数や転送・スクリーンショットで広がる可能性、職場は話した相手と場面が判断の材料になります。まず画面や録音などの記録を残し、職場のことなら社内窓口や労働局にも相談できます。
最終更新日: 2026-10-23
「LINEグループで自分の悪口を書かれた」「職場で根も葉もない噂を流された」という相談は、ネット上の公開の投稿と違い、見ている人が限られているぶん「名誉毀損になるのか」が分かりにくいものです。ここでは条文と判例をもとに、判断の分かれ目を整理しました。
名誉毀損と侮辱の要件
| 名誉毀損罪(刑法230条) | 侮辱罪(刑法231条) | |
|---|---|---|
| 公然性 | 必要 | 必要 |
| 示す内容 | 具体的な事実(「横領している」「不倫している」など) | 事実を示さない悪口(「無能」「気持ち悪い」など) |
| 法定刑 | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 | 1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料 |
| 告訴 | どちらも告訴が無ければ起訴できない(232条) | |
条文はe-Gov法令検索「刑法」で確認できます(2026年10月23日確認)。2つの罪の違いは侮辱罪と名誉毀損罪の違いにまとめています。
少人数でも「公然」になり得る
最高裁判所第一小法廷の昭和34年5月7日判決(刑集13巻5号641頁)は、確証もないのに「Yの放火を見た」と、被害者の弟や村会議員、近所の数人に問われるまま話し、その結果うわさが村中に広まった事案で、「不定多数の人の視聴に達せしめ得る状態において事実を摘示」したとして名誉毀損罪の成立を認めました(裁判所 裁判例検索)。話した相手が特定の少人数でも、そこから多くの人へ伝わる可能性があれば、公然性が認められることがあるという考え方です。
LINEグループ・職場・1対1の違い
| 場面 | 判断の材料 |
|---|---|
| LINEグループ | メンバーの人数、メンバー同士の関係、転送やスクリーンショットで外に広がる可能性、実際に広まったか |
| 職場 | 話した相手の人数と立場、朝礼や社内チャットなど多くの人が見聞きする場か、社外へ伝わったか |
| 1対1のメッセージ | 相手が1人だけで、ほかへ伝わる可能性が低ければ公然性は認められにくい。ただし相手がほかの人へ話す立場にある場合などは別に考える |
民事で慰謝料を求める場合も、社会的評価が下がったかどうかが中心になります。他人の権利を侵害した者は損害を賠償し(民法709条)、財産以外の損害も対象になります(710条、e-Gov法令検索「民法」)。考え方はネット誹謗中傷の慰謝料・損害賠償にあります。
残しておく記録
- LINEグループのトーク画面(グループ名・参加人数・投稿者・日時が入るように)。トーク履歴のテキスト保存もあると流れが分かりやすくなります。
- 職場での発言は、いつ・どこで・誰が・誰に・何と言ったかのメモ。聞いた同僚の名前。
- 噂が広まったことが分かるもの(ほかの人から聞かされた内容と日付)。
- 体調を崩したり仕事に影響が出たりした場合は、その記録(通院の記録など)。
保存のしかたは投稿URLとスクリーンショットの保存方法、LINEのオープンチャットの場合はLINEオープンチャットの誹謗中傷を参考にしてください。
職場のことなら使える相談先
職場での悪口や噂がいじめ・嫌がらせにあたる場合、事業主には職場のパワーハラスメントを防ぐため、相談に応じる体制を整えるなどの措置が義務付けられています(労働施策総合推進法31条、e-Gov法令検索)。社内の相談窓口のほか、都道府県労働局などの総合労働相談コーナーでも相談できます。刑事告訴を考えるなら誹謗中傷で警察に相談するとき、公的窓口の一覧は誹謗中傷の相談窓口一覧にあります。
よくある質問
メンバー5人のLINEグループでも名誉毀損になりますか?
人数だけでは決まりません。少人数でも、そこから多くの人に広まる可能性があれば公然性が認められることがあります。メンバーの関係や、実際に外へ広まったかも判断の材料になります。
「あの人は仕事ができない」と言われたのは名誉毀損ですか?
具体的な事実を示していない評価の言葉は、名誉毀損ではなく侮辱の問題になることが多いです。どちらも公然と言われたことが前提になります。
悪口を言われた録音やスクリーンショットは役に立ちますか?
いつ、誰が、何を言ったかを示す記録として、相談や手続きの材料になります。日時と場面が分かる形で残してください。
本記事は一般的な情報提供で、個別の発言が名誉毀損や侮辱にあたるか、賠償が認められるかを判断するものではありません。