X(旧Twitter)の名誉毀損|成立する要件と削除・開示・告訴の選び方

この記事の結論

  • Xのポストが名誉毀損罪(刑法230条)になるには、不特定多数が見られる場所で(公然と)、具体的な事実を示して、人の社会的評価を下げることが必要です。事実を示さない悪口は侮辱罪(231条)の問題になります。
  • 求めたいことで手続きが変わります。消したいならXへの削除申出、賠償を求めたいなら発信者情報開示で投稿者を特定、処罰を求めたいなら告訴です。
  • 告訴は投稿者を知った日から6か月、公訴時効は3年、損害賠償は知った時から3年。ログも消えるため、まずポストのURLと画面を保存します。

最終更新日: 2026-10-23

Xで自分や自分の会社についてのポストを見つけ、「これは名誉毀損になるのか」「何から始めればよいか」と迷っている人に向けて、法律の要件と手続きの選び方を一次資料にもとづいて整理しました。個別のポストが違法かどうかは、最終的には捜査機関や裁判所が判断します。

名誉毀損が成立する3つの要件

要件Xのポストで考えると
公然と公開アカウントのポストやリプライは、不特定多数が見られる状態にあたりやすい。鍵アカウントでも、見られる人数や広がり方で判断が分かれる
事実を摘示して「◯◯は会社の金を横領した」のように、真偽を確かめられる具体的な事実を示している。真実かどうかは問わない(刑法230条1項「その事実の有無にかかわらず」)
人の名誉を毀損したその人の社会的な評価を下げるおそれがある。実名でなくても、周りの人が誰のことか分かれば対象になり得る

公共の利害に関する事実で、目的がもっぱら公益を図るためであり、真実だと証明された場合は罰せられません(刑法230条の2)。法定刑は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。条文はe-Gov法令検索「刑法」で確認できます(2026年10月23日確認)。

侮辱罪との違い

「バカ」「気持ち悪い」のように具体的な事実を示さない言葉は、名誉毀損罪ではなく侮辱罪(刑法231条)の問題になります。侮辱罪の法定刑は2022年の改正で引き上げられ、1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料です。どちらも告訴がなければ起訴できない親告罪です(232条)。違いは侮辱罪と名誉毀損罪の違いで一覧にしています。

目的別の3つの手続き

したいこと手続き相手期限・注意
ポストを消したいXへの削除申出(権利侵害の申告)X Corp.Xは法律で削除申出への対応が義務付けられた事業者。判断の結果が通知される
投稿者を特定して賠償を求めたい発信者情報開示命令の申立て → 損害賠償請求裁判所・X・アクセスプロバイダ → 投稿者ログには保存期間がある。賠償請求は損害と加害者を知った時から3年(民法724条)
処罰を求めたい警察への相談・告訴警察・検察告訴は犯人を知った日から6か月(刑事訴訟法235条)、公訴時効は3年(250条2項6号)

総務省は2025年4月30日、X Corp.を情報流通プラットフォーム対処法の「大規模特定電気通信役務提供者」に指定しました(総務省 報道資料)。指定された事業者は、削除申出の窓口を公表し、申出を受けた日から14日以内の総務省令で定める期間内に、削除するかどうかを申出者へ通知します(同法22条・25条、e-Gov法令検索)。申出のやり方はX(旧Twitter)の削除依頼のやり方にまとめています。

賠償で求められるもの

名誉を傷つけられた場合、財産以外の損害(精神的な苦痛)の賠償を求められます(民法709条・710条)。裁判所は、損害賠償に代えて、または損害賠償とともに、謝罪広告など名誉を回復するのに適当な処分を命じることもできます(民法723条)。請求額が60万円以下なら、簡易裁判所の少額訴訟も使えます(民事訴訟法368条)。条文はe-Gov法令検索「民法」・e-Gov法令検索「民事訴訟法」にあります。考え方はネット誹謗中傷の慰謝料・損害賠償も参照してください。

最初に保存する記録

  • ポストのURL(ポストを開いて「リンクをコピー」したもの)と、投稿日時・アカウント名・@ID が写った画面。
  • リプライや引用ポストで広がっている場合は、そのURLも一つずつ。
  • 投稿を知った日。告訴期間や損害賠償の時効を数えるときに関わります。
  • 仕事や生活への影響(取引先からの問い合わせ、来店客の減少など)と、その日付。

残し方の詳細は投稿URLとスクリーンショットの保存方法、期限の考え方は名誉毀損の時効と告訴の期限にあります。

相談できる窓口

  • 違法・有害情報相談センター(総務省の委託):削除依頼の方法の助言。
  • 法務局「みんなの人権110番」(0570-003-110):インターネット上の人権侵害の相談。
  • 警察相談専用電話 #9110:告訴や被害届の相談。

窓口の使い分けは誹謗中傷の相談窓口一覧にまとめています。

本記事は一般的な情報提供で、個別のポストが名誉毀損にあたるか、削除・開示・賠償が認められるかを判断するものではありません。

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